コラム

人権ファシリテーション研修(報告2)

s-dsc04650

 

昨日の報告、後編です。

 

今回の研修では、最初に話し合う(もしくは、ファシリテーターが一方的に示す)「ゴール」をそれぞれに決めていただきました。というのも、人権についての学びは個々に違い、一人一人が深く、繊細な部分にフィットするように、との願いからです。

 

例えば、以下のようなゴールが出ました。参加の動機や学びたいこととして。

・人権を感覚として落とし込む。(知識や理屈を超えて)

・人を大切にしたい、人を信頼したいといつも思っているが難しい。人を信頼することと人権がどのようにつながているかを知る。

・身近のいろいろなことが人権につながっているということに気づく。それを府に落とす。

・「感性」を取り戻す。

 

人権についての様々な歴史、法律、制度、社会問題の数々を知識として得ることは非常に重要です。しかし、これらは自分一人でも勉強すれば得られます。

 

一方、それぞれが歩んできた人生をふりかえり、その中の出来事から感情を含めた物語を語り合い、それらがどのように人権につながっているのかを学ぶ。これは、互いに語り、学び合う参加型学習でなければできないことです。

 

ERICの参加型学習の素晴らしさは、こういうところにもあると再確認しました。そして、人権は、特別な人たちだけの問題ではなく、全ての人が日常の中で経験し、いやな想い、辛かったこと、逆に、嬉しかったこと、感動したこと等を通して互いの大切さを知り、「肯定的風土」を土台とする人権尊重社会をつくっていくということを確認し合えたと思います。

 

プログラムの「起」にもってきたセルフエスティームでは、ERICテキストの「4つの窓」を使いました。しかし、時間の関係で1つ1つを順番に行うことができないと判断し、皆さんいっせいに、やりたいところやって下さい!とお茶を入れに行っている間に、、、、

 

なんと、ほとんどの方が全ての窓にぎっしり書き込んでおられ、驚きました。私でしたら、まずは1つ目で時間がかかり、次が続いていないかもしれません。4つの窓とは・・・・

 

①わたしを表す公的的な形容詞

②人生の河

③10人の親しい人々

④去年できなかったことで今年はできること

 

①は、ヴァーチューズ・プロジェクト52の美徳のシートも参考にしていただきつつ自由に表現してもらいました。②は、今回のテーマでもある母として、女性としてを意識していただき、考えてもらいました。

 

発表の時間となり、好きな窓を紹介していただくことにしましたが、皆さん、それぞれに違う窓を選び、表現して下さったことにまた驚きがありました。特に、「人生の河」では、出産を経て自己の存在の実感が変わったこと、自身の病や家族が亡くなったことから変化した生き方など、いずれも節目となる出来事を通して、生きる感覚がどう変化したかを語って下さいました。

 

このワークだけでも、もっと時間があれば、さらにじっくりやれると思います。

 

さて、「承」のワークは昨日書きましたので、あとは、最後のふりかえりです。

・相手のことはわからないものだという前提。その上で、理解しようと努力することが大切なのだ。

・人権は誰にとってもとても身近なことで、相手の立場に立つ姿勢から始まる。

・もっと人を信頼したいと思っていたが、そのためには、まず相手を理解することが必要。

・10人の親しい人々は、「信頼できる人」をテーマに選んでいた。どういう人かと考えると、自分のことを理解してくれている人だと気づいた。

・理解するというのは、実は簡単ではない。だからこそ、努力が必要。

・日本語は、主語をつけないで話すことが多い。だから「みんな」というくくりになってしまう。それが均質化された社会をつくる。一人一人の人権を尊重するには、「誰が」という主語が大事。

 

いかがですか。最初に考えた今日のゴールを見直すと、ふりかえりの成果につながっていたことに、驚きます。

 

残り2つのワーク(転・結)は、次回(未定)のお楽しみとなりましたが、それまでに、いろんな日常の場面で、ちょっとした意識を持っていただき、次にお会いできる時に、新たな発見を共有できたら嬉しいです。

 

s-dsc04648

せっかくの薪ストーブの焼き芋に、NOELのコーヒーを入れようと思っていましたが、アッという間の2.5h、残念。皆さん、お持ち帰りいただき、あっという間に召し上がって下さったそうで、ありがとうございました!

月別アーカイブ