コラム

「人権に気づくファシリテーションスキル講座」パート2

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「人権に気づくファシリテーションスキル講座」パート2
~わたし・あなた・みんな~(2017年4月26日開催)

 

前回(昨年12月)扱った「わたし」「あなた」をふまえ、今日は前半で「みんな」につながるワーク、後半でQFT(Question Formulation Technique、質問を構築する技術)について実施。ERICの「経験主義」を大切に5名で話し合いました。

 

ワーク1「人権を大切にされた経験と逆の経験」について「対比表」で整理し、これまでの人生や身近な話題から、様々な場面に潜んでいる人権について意見を出し合いました。こんなところにも、、、と気づかされることが多かったです。

 

ワーク2「人権が大切にされる社会をつくるために“わたし”がしたいこと(既にしていること)」についてビンゴで整理しました。同じ意見は1つとしてなく(テーマをあえて広く実施したこともあり)、ビンゴはなし(笑)でしたが、一つ一つが意義深い内容で、幅広い視点から考えられたと思います。例えば、「わたし」に関わることとして、「自分をわかる」「自分の想いを明確にする」「いやだと思っていい」・・・。「わたし」から出発することが大事なことも再確認。

 

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QFTについては、「健やかさ」をテーマに、「問う心」を育てることを目的に実施。こちらもあえて広いテーマ設定でしましたが、目的によってチャンクを狭くし、制約をかけて出し合うことも重要です。

 

実際やってみると沢山の「問い」が出てきて、作業しながら「おもしろい!」とおっしゃる声も聞こえ、質問を考えることの楽しさと意義、優先順位をつけて数を収れん・収束することで明確になることがわかってきました。沢山出された「問い」と人権との関係性を考える時間があればなおよかったです。

 

ワークショップは、にぎやかな話し合い、沢山の意見、わかりやすいグラフィックデザインなどが評価されやすいですが、経験を用いて語り合い、共通課題を明確にして、未来のビジョンへの「価値観」を育てていくことが本質的にできているかを見極めたいです。そのためにも、適切な「問い」を投げかけていけるかが、とても重要だと思います。そして、静かな時間、内省の時間が不可欠です。ネガティブな感情を含め、それに気づき、表に出せることから始められる場。

 

次に、集約した3つの問いをもとに、一人の方にモデルになっていただき、その方の健やかさを考えるワークをしてみました。「ガードせず正直でいられる」「等身大の自分を見せられる」「余裕がある」などの意見が根拠とともに出されました。どれも人権社会を考える上で重要な要素だと思います。

 

自分と違う意見を聞いたり、自分の心の割れ目に入ったりする作業は、不愉快さや痛み・悲しみを伴うこともあります。傷を負うこともあります。先月のERIC研修でも感じましたが、その傷を恐れないこと、そこに踏み込んでいく勇気、傷ついても回復できると信じられること、それが健やかさで、その傷を回復していける場づくりこそが重要なことなどを確認しました。そして、そのために「問う」。そこを乗り越えていくことで次のステージに行く。

 

ERICの「問う こころ」2009年3月では、こんなふうに書かれています。
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問うことが、わたしの、そしてあなたのこころを開く鍵ではないでしょうか。 ~略~ なぜ、参加型にこだわるのか。なぜ、ファシリテーターをやり続けるのか。 ~略~ 平常心からの声によって、わたしのこころを語り合う、声の文化を作り出したい。語ることで、こころを伝え続けたい。伝えたいこころは何かを確認したい。 ~略~ 今、わたしたちのこころは、さなぎが殻を破る時にゆれるように、ぐらぐらと揺れながら、成長したがっています。揺れることが危険なのではなく、さなぎのまま殺してしまうことが悪なのです。2009年3月 ERIC国際理解教育センター

 

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次のアルマス講座は、5月24日のPLTファシリテーションスキルフォローアップです。屋外のアクティビティも入れながら実施します。PLTの本質「Treeについて学ぶのではなく、Treeを通して環境や社会と関わる感性やスキルや行動力を育む」ことをめざして実施できれば有り難いです。PLTファシリテーター資格の有無に関わらず、チャレンジしてみたい方おいでください。

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