コラム

ヴァーチューズ・プロジェクト「境界線」つづき

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先日のつづきです。

 

ヴァーチューズ・プロジェクトが考える境界線は、「~してはならない」といった禁止のルールではなく、ビジョンをみんなでつくりあげ、それを実現するために必要なヴァーチューを具体的な行動とともに考えます。

 

そして、「~してはならない」ではなく、肯定的な表現を使い、実行可能なことをみんなで考え、合意形成を図ります。

 

では、ビジョンとは? それは、めざす「あり方」。
家庭でも地域でも、学校でも職場でも、様々な問題、課題があります。それを解決し、どのような「あり方」をめざすのか。

 

当たり前の話ですね。しかし、それが意外と難しい。

 

企業経営でも学級運営でも、ビジョンは不可欠です。
ただ、それを実行するために、どのような境界線をつくったらよいのか、具体的なルールづくりに知恵が必要です。その知恵の部分がヴァーチュー。

 

余談ですが、いつもワークショップや小学校での出前授業の時に、参加のルールをつくりますが、これはとても大切な境界線です。

 

人の意見を受け止める、時間は平等に使う、お互いを尊重するなど。小学校では、「相手の目を見て聞く」「うなづく」「まちがっていても笑わない」など(否定形もありますが)、とても大切なルールが決まったおかげで、グループワークも発表も活発で楽しい授業になりました。

 

一番大事にしたかったのは、ふだん声が小さい、発表する勇気がない、だまっている方が好きというような子が自分の意見を安心して言えたかどうかです。

 

この場合のビジョンは、「誰もが自分の意見を安心して言える場やお互いの意見を大切にできるクラスをつくる」といった感じです。

 

ワークショップは、民主的な場ですが、特定の人が長く話したり、自己主張の強い人の意見に影響されたりしがちです。声が小さい人ほど安心して発言できる、そんな社会をつくりたいですね。

 

境界線は、自分を守るために築く高い壁(バリア)ではありません。

 

今、私たちの社会に必要なビジョンは何でしょうか。そして、どのような境界線があれば実現できるでしょうか。

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